御文とは


「御文(おふみ)」は本願寺八世蓮如(れんにょ)上人が、全国各地の御門徒に送ったお手紙です。
浄土真宗本願寺派(お西)では「御文章(ごぶんしょう)」と呼びます。

蓮如の孫の圓如(えんにょ)が、二百数十通の中から八十通を選び五帖(五冊)に編集した物を『五帖御文(ごじょうおふみ)』といいます。
通常、「御文」というと「五帖御文」の事を指す事が多いようです。
一帖目から四帖目には日付順に並べてあり、五帖目には日付が不明なものをまとめてあります。
五帖目の御文は、日付が無い事と文章のまとまりが良い事から、実際のお手紙ではなく別に記された物である、という説があります。

他に、『夏御文(げのおふみ)』、『御俗姓御文(ごぞくしょうおふみ)』があります。
また、『五帖御文』から漏れたもの(『夏御文』『御俗姓御文』を除く)を総称して『帖外御文(じょうがいおふみ)』といいます。

赤本には、五帖第一通「末代無智(まつだいむち)」、五帖第十通「聖人一流(しょうにんいちりゅう)」、五帖第十一通「御正忌(ごしょうき)」、五帖第十六通「白骨(はっこつ)」の四通が載っています。


『蓮如上人御一代記聞書』によると、蓮如上人は御文について以下のように語ったという事です。

『御文』のこと。「聖教は、よみちがえもあり、こころえもゆかぬところもあり。『御文』は、よみちがえもあるまじき」とおおせられそうろう。御慈悲のきわまりなり。これをききながら、こころえゆかぬは、無宿善の機なり。(→聖P.865)

(略)「御一流の肝要をば、『御文』に委しくあそばしとどめられ候うあいだ、今は、申しまぎらかす者も、あるまじく候う。此の分を、よくよく、御心得ありて、御門徒中へも、仰せつけられ候え」と、御遺言の由に候う。(略)(→聖P.912)